暴落時も基本が大事~令和のブラックマンデーで得た教訓~

2024年8月に起こった「令和のブラックマンデー」

2024年8月初旬の日本の株式相場は、米国の景気後退懸念や日本銀行の利上げ姿勢が鮮明化したことなどを背景に乱高下しました。

7月下旬には42000円台の史上最高値を更新した日経平均株価でしたが、そこからたったの2週間で31000円台まで急落し、直近高値からの下落率は20%を超えました。特に8/5の下落率は12%に達し、1日の下落率としては1980年代のブラックマンデーに次ぐ歴代2位の暴落を記録しました。

売買記録と投資方針

そんな暴落のさなか、私はどんな行動を取ったのか、当時の売買記録を元に振り返ってみましょう。

私の基本的な投資方針をお示しします。

  • 長期投資
    10年以上心配なく保有できるような、長期投資に適したビジネスを有する企業の株式を買う。
  • アセットアロケーション運用
    株式以外に、現金や債券、不動産など、主要な資産クラスに分散して投資を行う。
    各資産クラスへの配分比率は一定とし、資産の価格変動により比率が乱れた場合は元の比率に戻るよう売買を行う。
  • 逆張り投資
    不人気や一時的な業績低迷などを理由に、資産価値に対して価格が割安になったタイミングで投資を行う。逆に、人気テーマなど割高となっている資産への投資は控える。

まず、規律を保って買い増しを行うにあたり、以下のように資金の投下量に関する目標を設定しました。

日経平均のPBRを主たる判断材料として、PBRが10%低下するにつれ、安全資産の10%を株式に移動させるプランです。(注:この基準は完全に個人的な主観であり、推奨するものではありません。)

なお、リーマンショック時の株価の底を最悪想定とし、最悪想定でも安全資産の40%には手を付けないことになっています。

本来リーマンショック級の大暴落が起こった際は、生活防衛資金を除いて株式100%の姿勢を取る価値があると思いますが、さすがに感情的に揺らぶられると思われるので、最低限この程度は株式に移動させておきたいという保守的な目標設定になっております。

そして、実際に行った売買がこちら↓

株価下落とともに段階的に買い増しを行っており、8/1~8/5は連日まとまった資金で買い増しを行いました。

その後の株価の急反発を受けて、8/6以降は買いの手を緩めました。

あくまで結果論ですが、8/2や8/5に買った資産は適正な水準より10~20%安い価格で買うことができました。

私が暴落時に感じたこと

分散投資が大事

今回の下落を通じて最も強く感じたことは、分散投資が大事ということです。

投資における3原則として、「長期・分散・低コスト(または積立)」が提唱されることが多いですが、分散投資はまさにこの3原則のひとつ。

では、なぜ分散が大事と感じたかということですが、

今回、株式市場が暴落する中、円高ドル安が加速(=円の現金の価値は相対的に上昇)し、債券価格も上昇するなど、株式以外の資産比較的安定した値動きとなりました。そして、このことが暴落の最中に割安になった株を買い向かう上でとても心強い存在になったからです。

また、相場が下落し割安な株を買うチャンスが生じた際に投資するための資金を確保しておく観点からも、株式と異なる値動きをする資産に資金の一部を割いておくことは理にかなっている、ということを経験とともに再認識することができました。

せっかくのバーゲンセールに出くわしても、投資資金がない、または目減りしている状況では、セールに参加できません。
分散投資には、バーゲンセールでの軍資金を確保するというメリットもあるのです。

下落時は買い目線を保つことで、狼狽売りを避ける

下落時に投資資金があるメリットは、割安な株を買うチャンスを得られることだけではありません。

投資資金があれば、下落時に割安な株はないかと買い目線を保つことができます。その結果、損失に目を向けずに済み、恐怖にかられ手持ちの株を売ってしまう狼狽売りを防ぐことができるのです。

同じような意味合いで、崩れた資産の配分比率(アセットバランス)を元に戻すことに集中する(後述)のも一案かと思います。

とにもかくにも、増えていく損失だけを見ていてもろくなことがない、というわけです。


もちろん、損失を無視することはできません。

しかし、以下を前提にすれば、相場の下落時に損失を恐れる必要はないのです。

  • 普段から近い将来に必要のない余剰資金で長期投資を行っている
  • 暴落時にどの程度の損失を被りうるか想定している
  • 想定される最大の損失が家計にとって許容範囲である

損失を恐れるのは平時のシミュレーション時に行っておくべきことです。

実際に暴落を受けてしまった状況では、少しでもこの困難な状況を前向きに生かしていく方法はないかという目線で見ていきたいところですね。

暴落は買い、しかし、迂闊な買い増しは禁物

相場が下落した際は、狼狽売りに走るのではなく、むしろ買い目線で見ていきたいと言いました。

その一方で、下落局面の初期段階で過剰な買い増しを行うと、その後さらに相場が下落した際に損失が膨らみ、その結果相場の大底で狼狽売りに走ってしまうという最も悲惨な失態に陥るリスクが高まります。

そこで、私は今回の急落の最中、日々の売買を記録して一覧視できるようにしました(上述)。

そして、その横に相場の下落に応じて段階的に買い増しを行う目標も併記しました(上述)。

この記録はとても重要なものだと感じました。
なぜなら、前のめりになり過ぎて迂闊な買い増しを行わないようにするストッパーとなる一方、
恐怖におののきせっかくのバーゲンセールを逃すのを防ぐドライバーともなるからです。

リバランスで反転攻勢に

人生初の暴落を受け、内心は少しうろたえながらも割安となった株を買い向かった私でしたが、

幸いその後相場は急回復し、下落時に株を買った分だけ回復局面における上昇スピードは大きくなりました。

その結果、相場が全回復せずとも私の資産額は下落前の水準まで回復しました。

これこそがリバランスの威力です。

イメージとしては以下のような感じです。

株式100%だと相場全体が元に戻るまで自分の資産も回復しませんが、下落時に安全資産から株式へ資金移動を行うことで、相場が回復するより早く資産額を回復させることができます

暴落はリスク許容度を見直すチャンス

暴落を受けて失敗した方へ、朗報です。

読者の中には、みるみる減っていく資産額が心配で夜も眠れなかったとか、不安になって狼狽売りしてしまったという方もいらっしゃるでしょう。そんな方にお伝えしたいことがあります。

既に犯した失敗を取り戻そうとしても、失敗に失敗を重ねるだけです。
過ぎ去ったことは考えすぎず、暴落をリスク許容度を見直す好機ととらえましょう。

暴落時に夜も眠れなかったとか、狼狽売りしてしまったということは、自分がやっていた投資が自分のリスク許容度を超えていたということを意味します。

暴落を好機ととらえ、過剰なリスクを取っていた方はリスク資産の比率を引き下げるべきです。

来るべき次の暴落に向けて、リスク許容度を守った投資を心がけていきましょう

まとめ:暴落時こそ基本が大事

最後に、今回の暴落を経て私が得た教訓をまとめておきます。

  • 分散投資が大事(基本中の基本!)
  • 平時に暴落時を想定し、リスク許容度を超えていないか考えておくべし
  • 暴落はリスク許容度を見直すチャンス
  • 暴落時に買い目線を保つことで、損失の恐怖を抑え込むことができる
  • 暴落時にリバランスを行うことにより、その後の資産の回復スピードが増す
  • 下落の初期段階での過剰な買い増しは禁物
  • 節度を持って買い増しするため、売買を記録して客観的に現状把握せよ
  • 暴落時の失敗を認め、次の暴落への対処に活かそう


割安な株を買うことができればリターン向上に寄与することは言わずもがなですが、

狼狽売りをせず長期投資の姿勢を貫き株式の保有を続けるだけでも、十分立派な投資姿勢と言えるでしょう。

投資における失敗は感情に由来することがほとんど、という事実を踏まえると、
暴落という最も感情が掻き立てられやすい局面において、感情に振り回されることなく、いかに自分の決めた投資方針に従って淡々と行動し続けられるかが大事なのだと思います。

そして、暴落時の行動こそが投資リターンを大きく左右することを考えると、暴落は投資家としての胆力を問われる正念場ととらえることができますね。

今回はあっという間に過ぎ去った暴落でしたが、次の暴落局面は数か月、あるいは数年続くかもしれません。

そうであったとしても、冷静に自分の投資方針を守って淡々と投資を続けていきたいなと思います。

苦しい時期を乗り越えることで初めて投資家として成長できると信じています。

最後までお読みいただきありがとうございます。みなさまの人生が彩りあるものになりますように。

【注意】
本記事は投資の勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定はご自身の責任と判断で行っていただくようお願いします。本記事に関するご質問・ご照会等にはお答えしかねる場合があります。本記事の記載内容は予告なしに変更することがあります。ご了承お願いします。

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