話を聞いてくれる人を大事にしよう

ココナラの「あなたのお話を聞きます」というサービス

みなさんはココナラというサービスをご存知ですか?

動画編集や似顔絵作成など、様々な仕事を他人に依頼できるプラットフォームです。

先日ココナラのサイトを見ていると、「あなたのお話を聞きます」というサービスが販売されていました。

そんなものにお金を払う人はいるのかー?

始めて見たときは驚きましたが、中には1000件を超える販売実績のある提供者もいたので、一定数そういうニーズがあるようです。

話が長い患者さん

外来をしていると、「話が長い」患者さんが少なからずいます。

中には、要点がまとまらず思いつくままに話しているために話が長くなっているケースもあるのですが、話を聞いてほしいという気持ちが強くて話が長くなることも少なくありません。

そういった方のお話を聞いていると、背景に「話を聞いてくれる人がいない」という孤独を垣間見ることがあります。

たくさんの薬より1人の共感が患者さんを救う

ひとつ具体的な症例を紹介しましょう。

色々な体の不調を訴えるDさん。近くの病院で治療に難渋されていました。

詳しい検査をしても悪いところが見つからない。

むかつくから吐き気止めを出しても治らない。

痛いから痛み止めを出しても治らない。

めまいがするから眩暈止めを出しても治らない。

Dさんの身に何が起こっているのかは、論理的には説明不可能でした。

こういうとき、私は「きっとあれだな。」と思い、症状と合わせて日々の生活の話を聞いてみるのです。

すると、Dさんはこう教えてくれました。

体の調子が悪いと言っても、夫は家のこととか何も手伝ってくれないんです。それどころか、シャンプーがないぞ、醤油を取ってくれ、夕飯はまだか、掃除しておいてくれなど、私に頼みごとを言ってくるばっかりなんです。(以下省略)

Dさんは亭主関白な夫に虐げられていました。

その苦しみを心ゆくまで話してもらい、共感の姿勢を示し、夫との付き合い方について一緒に考えてあげました。

すると驚くことに、1ヵ月後Dさんの体調不良は大きく改善し、持病の薬以外は全て必要なくなりました。

Dさんの症状は、家庭内の精神的なストレスに由来していたのです。

Dさんに関して、私は内科医として治療した病気はありません。やったことと言えば、ただ話を聞いただけです。

にも関わらず、Dさんの症状は全てよくなりました。

私はDさんにとても感謝されました。最近は持病の状態も落ち着いており、挨拶をするくらいの診察なのに毎回遠方から来ていただいています。

症状がよくなった後で、私は聞きました。

どうしてご主人との話を最初の先生に言わなかったのですか?

主人の愚痴みたいなことを先生に言えるわけがないでしょう?
それに、ストレスのせいで体の調子が悪くなっていたなんて思ってもみませんでした。
先生には色々話を聞いてもらって、本当によかったです。
家のことなんかで相談できる人は周りにいませんでしたので。

話を聞いてくれる人に感謝しよう

悩みや愚痴を友達に聞いてもらうだけで気持ちが晴れた、という経験はありませんか?

自分の困っていることや心配事を他人に話してみると、たとえ具体的な解決策が見つからなくとも、話を聞いてもらうだけで心の荷が下りるのです。

ただ、自分が毎日のように悩み心配するような大事なことを、全く信頼もない赤の他人に話せる人はいないでしょう。そういう話ができるのは、自分のことをよく知り、自分のことを認め、困ったときには助けてくれるような、信頼できる相手に限られます。

もしあなたの周りにそういう存在がいるのであれば、あなたは大変恵まれています。そういった人は多くはいません。貴重な存在です。

ときに悩みや愚痴を吐き出すのは悪いことではありません。困難を抱え込みすぎると人は壊れます。

ただし、以下のことを忘れないでください。

不安や不満を吐き出すだけ吐き出した後、自分の気持ちが落ち着いたら、

話を聞いてくれた人に感謝を伝えましょう。

そして、その人との関係を大切にしましょう。

目の前にいるその人は、あなたにとってかけがえのない救世主なのですから。

最後までお読みいただきありがとうございます。みなさまの人生が彩りあるものになりますように。

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相手の話を聞くことは相手を理解する第一歩であり、相手に理解されるための第一歩でもあります。

【注意】本記事の内容は個人の意見であり、一般論を示すものでもありません。個々の治療方針については主治医とご相談いただくようお願いします。

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