投資は怖い?
「株価が暴落して何百万円も大損した」とか聞いたことあるわ。
投資って怖そう。
せっかく貯めたお金が減ったら、どうしてくれるんだ!
投資なんて危ないからしないほうがいい。
確かに、株式などの金融商品はその時々で価格が変化するため、買った価格より値下がりしてしまうリスクがあります。
多くの投資初心者が恐れるのが、この「元本割れリスク」でしょう。
しかし、実は「元本割れリスク」よりもっと怖いリスクがあります。
それが、「人間リスク」です。
え~。投資って、ただでさえ損しそうで怖いのに、
その上、人間不信になるリスクもあるの~??
いえいえ、そういう話ではありません。
投資には少なからず避けられないリスクがあります。
だからこそ、投資初心者には知っていれば避けられるリスクに注意してほしいですね。
今回は、そのうちのひとつ、初心者がよく陥りやすい「人間リスク」について考えたいと思います。
そのマイホームのお値段、本当に適正ですか?
投資の例として、マイホームを買うときのケースを考えてみましょう。
【注意】時折、投資をしているという意識を持たずにマイホームを購入される方がいますが、マイホーム購入は立派な不動産投資です。
子供も生まれたし、そろそろマイホームがほしいな。
そう思ったあなたは、不動産屋を見て回り、気に入った物件の交渉に入ります。
例えば、駅から徒歩10分、郊外築7年の一戸建て。
始め不動産屋さんに「4000万円でいかがですか?」と言われ、色々交渉した結果、3500万円で買えたとします。
始めに提示された値段より500万円も安くなったぞ。交渉をがんばったかいがあったな。
大きな買い物を終え満足しているところ恐縮ですが、あなたの買った一軒家、3500万円は適正な価格でしょうか。
- 他の業者とあい見積もりは取りましたか?
- 同じ地区の同じような物件と価格の比較はしましたか?
- 雨漏り、シロアリ、耐震強度不足、心理的瑕疵(ex.前の住人が孤独死した)など、住居の欠陥は十分洗い出したでしょうか?
あなたが不動産取引に慣れている投資家なら心配ありませんね。
しかし、不動産購入は初めてという初心者の場合、物件の適正価格を見極めることは困難です。
本当に恐れるべきは「人間リスク」
不動産取引に関して言うと、投資家の間では2000万円くらいで取引されている物件を、初心者が数百万円増しの価格で買わされる、ということはよくあります。
詐欺まではいかずとも、「こいつは相場をわかっていないな」と売り手側が見れば、相場より高い価格を提示して儲けを得ようとするのが世の常です。
商品の詳細がわからないとか相場を知らないがために、売り手から本来の価値より高い価格を提示されているにも関わらずそれを知らずに買ってしまう。これが「人間リスク」です。
いろんなところに潜む「人間リスク」
マイホームに限らず、市場で取引されない金融商品には至るところで「人間リスク」を垣間見ます。
・知り合いの保険屋さんおすすめの個人年金保険。中身はただのぼったくり投資信託。しかも、すぐに解約したら損になるって、どういうこと?
・銀行の窓口で薦められて購入した外貨建ての定期預金。円預金より高い利回りが魅力的だったけど、実際引き出すときには為替手数料や送金手数料がかかり、結局儲けはゼロ。
・郊外新築戸建てのマイホーム。賃貸の家賃分程度を払い続けるだけで最終的には資産も残るって言われたけど、30年後ローン返済を終えて残った家の資産価値はゼロ。毎年の固定資産税や修繕費で支払いは尽きない。
全ての場合において、商品の本当の価値や仕組みがわからず、不当に高い価格で買ってしまう結果、思いがけない損が生じるのです。
では、どうしてそんな不幸なことが起こってしまうのか。
それは、価格交渉の際に買い手側にプロのチェックが入っていないからです。
市場で嘘は通らない
マイホームなどの例に比べると、株式や債券の価格には大きな安心感がありますね。
それはなぜか?
株式にせよ、債券にせよ、市場で取り扱われる商品の価格は全て、「この価格なら買っていいよ」という人と「この価格なら売っていいよ」という人の両者の合意に基づき取引が成立した価格です。
ただ、これはマイホームの場合も同じです。
マイホームの場合と異なるのは、市場においてそれらを取引しているのがプロの投資家である、という点です。
例えば、せいぜい100円の価値しかない株式を「1万円で買いませんか~?」と言っても、プロの投資家がそんな値段で買うはずがありません。したがって、市場では法外な価格をつけて売るということはできないのです。
市場で取引される金融商品の価格にはプロの投資家のチェックが入っており、その時点での適正な価格となっています。
これは投資をする上で大きな安心材料です。
ましてや、まったくのド素人が買う場合を考えれば、マイホームと株式のどちらの方が安心なお値段で買うことができるか、言うまでもありませんね。
「株は怖~い」っていう人は多いですが、マイホームはローンを組んでまで簡単に買ってしまう。不動産投資なんてしたこともないにもかかわらず、です。
私からすると、マイホームを買うときの方が何倍も怖いです。
避けられるリスクは避け、避けられないリスクは適切に背負う
投資をする上では、避けて通れないリスクがあります。
「元本割れリスク」や「価格変動リスク」などはその代表例です。
こういったリスクは、魅力的なリターンを得るためには背負わざるを得ないものです。
一方で、「人間リスク」はその存在を知っていれば(あるいは対策をしていれば)ある程度避けられるものです。
また、そのリスクを背負ってもリターンは全く増えない(むしろリターンが減る)骨折り損のリスクです。
「人間リスク」に対しては、適切な知識を備え極力そのリスクを負わぬよう注意すべきです。
結局、投資ってリスクがいっぱいってことでしょ。
やっぱり投資なんてしない方がいいんだよ。
そう思う気持ちはよくわかります。
しかし、全てのリスクを避けてしまう(例えば定期預金だけにする)と、リターンは得られません。
貯金のみで十分な資産を築けるのならよいのですが、投資をしないと将来必要なお金を貯められないのなら、リスクを避けじっとしているのもまたリスクです。
投資にリスクはつきもの。
これは間違いのない事実ですが、どうせ背負うならリターンのあるリスクにしましょう。
相手の儲けになるだけの骨折り損のリスクとは距離を置くのが、賢い投資家への近道です。
最後までお読みいただきありがとうございます。
本記事を作成するにあたり、経済評論家 山崎元さんのコラムを参考にしました。 山崎さんのコラムでは、投資判断をする上での考え方がとても論理的に説明されており、思いがけない発見も多く、これから投資を始めたい方や、すでに投資を始めている方に大変おすすめです。ただし、いささか専門用語が多いのはご愛敬。
【注意】本記事は投資の勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定はご自身の責任と判断で行っていただくようお願いします。本記事に関するご質問・ご照会等にはお答えしかねる場合があります。本記事の記載内容は予告なしに変更することがあります。ご了承お願いします。