投資成績はベンチマークと比較しよう

みなさん、こんにちは。るろうに健心です。

いきなりですが、皆様は自分の投資の成績をどうやって評価していますか?

プラスだったらOK!マイナスだったらダメ!

こんな風に考えられている方が多いのではないでしょうか。
でも、私からするとこの考え方は少し心配です。

今回は、投資方針の決定や投資成績の評価において重要なベンチマークという概念について考えてみたいと思います。

ベンチマークとは

ベンチマークとは、もともとは測量を行う際に建築物の高低差や位置の基準点・水準点を表す言葉として用いられました。

転じて、投資においては、投資信託などの運用主体が運用の指標としている基準のことを指します。実際には、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスやS&P500種指数、日経平均株価など、主要な資産運用会社が算出している指数がベンチマークとして設定されていることが多いです。

個人投資家にとってのベンチマークの使い方

投資信託の投資先の把握

よく投資初心者さんには、リスクを抑える上でインデックス投資が勧められることが多いです。

つまり、個別企業の株式へ集中投資するとリスクが大きくなりすぎて危険なので、全世界(または主要な先進国)の株式に幅広く分散投資している投資信託を買う方がいいですよ、ということです。

しかし、投資信託を買うにしても、おびただしい数が存在しており、一体どれを買ったらいいのかわからず途方に暮れる初心者さんも少なくないことでしょう。

投資信託を買う際には、名前を見るのも大事ですが、「何をベンチマークとしているか」を見ることで、その投資信託の投資先を大まかに把握することができます

こういった情報は目論見書にまとめられています。目論見書は、投資信託の取扱説明書みたいなものだと思ってください。投資信託を購入する際には、必ず一度目を通す必要があります。

一例として、eMAXIS Slim全世界株式(通称オルカン)の目論見書を見てみましょう。

三菱UFJアセットマネジメント eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)目論見書より引用

冒頭のところで、「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスをベンチマークとします。」(写真の青枠部分)と明記されています。

このように書いてあれば、この投資信託の投資対象はMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスに準ずるものだと理解できます。つまり、この投資信託を買えば、世界中の株式に幅広く投資をすることができるということです。

その他によく見るベンチマークとして、S&P500を採用していれば米国の大型企業500社に投資していることになりますし、TOPIXを採用していれば日本の上場企業にまんべんなく投資していることになります。

このように、ベンチマークはその投資信託の投資対象を表しています
インデックス投資においては、どの資産クラスに投資をするかでリターンとリスクのほとんどが決まるので、ベンチマークは投資信託を選ぶ際に一番重要な指標と言えるでしょう。

個別株運用をしている場合のリターンの評価

最近は高配当株投資などの個別株投資に親しまれる方も多いですね。また、アクティブファンドを買う方もいらっしゃるでしょうか。

こういったアクティブ運用(※)を行う際は、絶対的なリターンの大小だけでなく、リターンが同様の資産クラスを対象とした指数(=市場平均)と比べて大きく劣後していないかどうか、また、リスクが指数と比べて過度に大きくなっていないかどうかも確認する必要があります。

※市場平均に比べ投資対象や比重に偏りをもたせることで、市場平均を上回る運用成績を目指す運用手法のこと。

自分が投資しているのと同様の資産クラスを対象とした指数をベンチマークに設定し、一定期間のリスクとリターンを比べてみることで、自分の行っている投資の効率性を判断することができます。

投資初心者さんにありがちな誤解

少し難しい話が続きましたね(汗)。皆様は何となくご理解いただけたでしょうか?

「よくわからないよ~」という方のために、ベンチマークについて理解していないとどのような誤解が生じるのか、初心者さんからよくいただく意見を例に考えてみましょう。

誤解その1~プラスリターンだからOK~

お気に入りの個別株で運用しているんだけど、今年は+5%のリターンだったわ。よかった~♪

初心者さんとお話していると、リターンがプラスだったから満足される方がいます。

もちろん、投資はお金を増やすことが目的なので、プラスのリターンが出て喜ぶお気持ちはわかります。

しかし、評価の判断基準が「リターンがゼロ」になっている点は正しくありません。すなわち、リターンがプラスなら良し、とは限らないのです。

重要なのは、運用の過程で資産が目減りするなど様々なリスクを背負っているため、本来そのリスクを背負った場合に期待できるリターンを判断の基準にすべき、ということです。

例えば、日本の個別株運用を行ったのであれば、同期間におけるTOPIXや日経平均といった指数をベンチマークに設定し、そのリターンと比べるべきです。

より具体的に言うと、例えば同期間においてTOPIXが+10%のリターンを出していたとすれば、+5%というあなたの運用のリターンは不十分と評価せざるを得ないでしょう。

誤解その2~マイナスリターンだからダメ~

せっかくみんながいいと言うオルカンっていう投資信託に投資したのに、今年はリターンがマイナスになっちゃったわ。とほほ(泣)

この場合も、判断の基準が「リターンがゼロ」になっている点が正しくありません

この場合、本来比べるべきものは、同期間における全世界株を投資対象とした指数のリターンです。

仮に、自分が投資した対象と同じような資産クラスのベンチマークのリターンがマイナスだった場合、それと比較して自分のリターンが大きく劣っていなければ、マイナスリターンであったとしても投資が失敗だったとは言えません。

より具体的に言うと、ベンチマークとなる全世界株指数のリターンがー5%であったとき、自分が投資していたオルカンのリターンがー5%だとしたら、それは本来自分が目指していた平均的な運用結果であり、特に問題はありません

また、アクティブ運用を行っている人の場合で言うと、仮に自分のポートフォリオのリターンがー2%だったとしても、同期間におけるベンチマークのリターンがー5%だとしたら、それはベンチマークを3%上回るリターンを出せた好成績だったと評価することができます。

まとめ:投資成績はベンチマークと比較しよう

投資初心者さんは、ついつい投資成績を「リターンがプラスかマイナスか」で判断してしまいがちです。

もちろん、長期的にはプラスのリターンを期待して投資を行っているわけですが、株式などリスクを伴う資産の運用においては、正しい運用を行っていたとしても短期的なリターンはプラスにもマイナスにも振れうるものです。

自分の投資が本来の道から大きく逸れていないかどうかを判断する際に、リターンの絶対値で判断するのではなく、目標となるベンチマーク(=指数)と比較して優劣を評価する必要がある点に注意しましょう。

さらに言うと、リスクについてもベンチマークと比べて過度に大きくなっていないかどうか見ておきたいところです。(ただし、実際の運用ではリターンに比べリスクの算出や評価は難しいですが。)

最後までお読みいただきありがとうございます。みなさまの人生が彩りあるものになりますように。

【注意】本記事は投資の勧誘を目的としたものではありません。また、特定の投資対象への投資を推奨するものではありません。投資の最終決定はご自身の責任と判断で行っていただくようお願いします。本記事に関するご質問・ご照会等にはお答えしかねる場合があります。本記事の記載内容は予告なしに変更することがあります。ご了承お願いします。

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